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カメリアカレッジ 教育講座の開講(第7回) ≪カメリア≫

はじめに
2011年4月2日、特別養護老人ホームカメリアでカメリアカレッジで教育講座(第7回)が開講されました。カメリアカレッジは月1~2回程度水曜日の夕方に開講していましたが、地域の方がお越しになりやすい時間をと考え土曜日の午後の開講となりました。教育講座は1月~5月まで一ヵ月につき2回のペースで開催されます。この講座開講にあたっては旧亀島小学校の初代校長である三浦一郎先生の全面的なバックアップを受け、講師の調整や全体の流れなどのプロデュースをしていただきました。

今回は第7回の開講。品川区立伊藤学園長の青木哲男先生による「品川区における小中一貫教育について」と題した講演が開催されました。地域町内会の方、そして今回は新人職員の研修の一環として医療法人社団湖聖会、社会福祉法人カメリア会の新人職員が参加しました。
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品川区立小中一貫校伊藤学園

講師紹介:青木哲男(あおき てつお)。 昭和25年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部において中学校・高等学校免許を取得し、卒業後玉川大学の通信教育で小学校免許を取得。昭和51年より、目黒区立八雲小学校で6年、板橋区立志村坂下小学校で8年、教鞭をとる。昭和63年ごろから当時、江東区立明治小学校長であった三浦先生のご指導を仰ぐ。平成2年、品川区教育委員会指導主事となり、9年間品川区教育委員会に勤務。その後東京都教育庁指導部企画課に移り、指導主事として勤務。平成12年、品川区教育委員会に戻り、指導課長として品川区の指導行政・人事行政に携わる。現在の品川区の教育改革「プラン21」の草創期にかかわる。平成15年、校長として府中市立白糸台(しらいとだい)小学校に勤務、平成19年から、再々度品川区に戻り、品川区立大井第一小学校の校長を経て、現在の品川区立小中一貫校伊藤学園にて校長として勤務、現在に至る。

・役職等:全国連合小学校長会常任理事・広報部長、東京都効率小学校長会副会長、品川区立小学校長会会長、東京都小学校体育連盟理事長、東京都小学校体育研究会会長などをご歴任。
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(写真左 三浦元校長、写真左 青木校長)

・無我夢中で教育に35年間携わり、多様な課題に取り組んできた。本日は、教育の専門的なことを話すよりも、小中一貫教育を通して教育を考えてみたい。

・日本の義務教育は6・3制。この制度はすでに60年を経過している。戦後間もないころの子供と現在の子供は異なっている。そこから見える教育課題についても考えてみたい。

・「小学校6年、中学3年」という考え方はしない。9年間の義務教育という考え方をするのが小中一貫校である。小学校6年、中学校3年という壁を取り払った系統的、継続的な教育活動を行う。

・教育委員会勤務時より品川区の教育改革を行ってきた。品川の教育改革は新聞紙上に掲載されたのは、学校選択制(希望を出せば隣の学区の学校にも進学できる)。これをきっかけに教育改革をスタートさせた。

・教育改革は手段。こどもの力を最大限伸ばすことが目的。

4・3・2年で教育スタイルをとるのが小中一貫校である。
・1~4年生:基礎・基本の定着(読み・書き・計算の習得)
・5~7年生:基礎・基本の徹底
・8~9年生:自学自習の重視

・品川区で平成18年に1校目の小中一貫校が誕生し、伊藤学園(平成19年4月開講、全校児童(1216名)、原小学校、伊藤中学校を母体とした施設一体型小中一貫校)が2校目となる。今春で4校の小中一貫校が品川区で誕生。
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小中一貫教育のカリキュラム
・品川区小中一貫教育要領を活用して指導している。特別な教育課程を文科省から許可のもと実施している。

義務教育9年間で確かな学力をはぐくむ

・1年生から「英語科」を導入
・新しい教科「市民科」
・小から中への学びの移行を円滑にする。

なぜ小中一貫教育なのか
・小と中のつながりのなかでいろいろな壁が発生「中1ギャップ」。これを取り除く
・9年間継続した指導のもとで学習に取り組むことができる:中学校への接続を意識した小学校段階での指導。→5年生から教科担任制としている(伊藤学園)。
・環境の急激な変化を緩和し、幅広い人間関係を築くことができる:環境激変の緩和による、ストレス解消、多様な人間関係の形成。→中1ギャップの緩和。小と中のギャップが大きい。5年生から部活動を行う。5年生から生徒会活動を行う。
・児童・生徒の発達に合わせ、9年間を見通した生活指導を行うことができる:9年間継続性のある生活指導を実現。

小中一貫教育の主な取組み
・[各教科]難しい学習内容は繰り返し学ぶ。左記の学年へのつながりを考えるなど、9年間を見通した指導を行う。
・[市民科]。自分の生き方をしっかり考え、現実の社会で強く生きていける知識や能力を育む。無理なく段階的に学ぶ<課題の発見→体験活動→行動の振り返り→改善>。1単元3~4時間を活用(週3時間実施)
・[ステップアップ学習]。学習の基礎となる学力を身につける。
・[英語科]。実践で生かせるコミュニケーション能力を養う。小学校の英語活動と中学校の外国語をつなぐため、統一的で一貫性のある英語科としての教育課程を編成。1~4年(親しむ)、5~7年(身につける)、8~9年(活用する)。英検準2級も10名程度合格。
・[その他の活動]。小中合同で様々な活動を実践。小中合同入学式、中学校教師による小学校での理科の授業等。
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一貫校と連携校
・品川区は「施設一体型連携校」と「施設分離型連携校」の2タイプで小中一貫教育を実践。

施設一体型一貫校
・学校施設(校舎)、組織、運営ともに一体の小中一貫教育を行う。
・学校施設(新築あるいは、既存施設を改築して整備)、組織・運営(校長を中心にして小・中学校教員が一体となって指導) 〔校務分掌、職員室座席配置などに工夫〕

伊藤学園の概要:
・校長1名、副校長3名(総務・教務部担当、生活・安全部担当、学習・進路部担当)・。校長が3名の副校長に考え方を伝えていく。
・組織を活かした学校経営をすることが大切。
・1~4年(低学年団)、5~7年(中学年団)、8~9年(高学年団)。各学団長が連絡・調整。
・1~4年生で45分授業。5~9年生で50分授業。7年生以上は週29コマ。朝10分の帯の時間
・年間行事:1年を指導と評価のサイクルを作る。通知表は2回。1年のサイクル①定期考査→面談→②定期考査→通知表→③定期考査→個別面談→④定期考査 →通知表
・異学年交流:「生活そのものが子供を育てる」視点;「1・9年生交流給食」、「5・8年生合同移動教室」、「中学年団球技大会」、「9年生による新1年生お手伝い」「4・7年生合同移動教室」。「2・6年生図書交流教室」。
・コンセプト:「創造と伝統の融合」。自覚と帰属意識が高まる。指導性、普遍性、次代性、独自性、機能性、平等性、経済性、ファッション性。学校関係者、PTA関係者等が協議して決めた制服。
・生活指導の重点:{諸問題への「共通理解」}→一覧表を全教員(60名)で回覧(特に注目すべきことがら、次週に引き継ぐ内容等)、{指導内容と方向性}→申し合わせ事項を作成。
・生徒会活動・部活動:5年生から生徒会会員として参加。加入率は6年(79%)、7年(95%)、8年(80%)、9年(76%)。小中全教員が顧問。
・学習指導:5年生からの緩やかな移行:教科担任制。学習ガイダンスの充実:全学年での個別面談。学習情報の共有システム:学習カルテの活用。
・進路指導:「市民科と連携した進路指導の学習プログラム」。進路指導とは生き方指導につながるといわれる。「キャリア教育の学習活動計画」により生き方を学ばせる。立志式(4年生)を通して教育をする、職場体験(8年)
・研究と実践(平成22年度):「小中一貫校において児童・生徒の資質・能力を効果的に伸ばす指導法の工夫」。施設一体型小中一貫校だからできる教科指導の工夫。
・成果と課題:成果(教師の意識改革、子供の変化、学校行事、生徒指導、学習指導の一貫性・系統性)、課題(システムづくりから定着へ[伊藤学園スタイルの明確化]、連携小学校との共通実践) 中学校籍の教員が小学校の担任を務める事例もある。この学校では小学校、中学校とよばない。やんちゃな顔つきが軽減になり穏やかな顔つきとなる。自分が模範を示さないといけないという気持ちが生まれる。

質疑、意見・質問

≪質問≫学力の低下が心配されているが、一貫校において1~4年生の基礎教育が一番大事なことではないかと思いましたが、具体的にどのように指導していますか?
≪回答≫読み書き計算は生きていくには一番大切な能力です。大事なことは繰り返し行うことです。定着まで時間がかかりますので繰り返すことです。家庭教育との連携のなかで繰り返し定着するまで行うことが重要。是非1~4年生までに基礎的な力を付けさせてください。

≪質問≫①子供の満足度と父兄の満足度は如何(有名校に入学するしないは関係ない)、②地域社会との交流は如何(思想、関心の如何、人間性を高める工夫如何)、③英語教育の重要性(言語教育の柱は英語)もさることながら技術・理系教育も重要であると考えるが如何?
≪回答≫①193名の卒業生のうち100名以上が都立校に進学。出口の保証が重要な課題と考えている。困難校に大勢の子供を入学させるだけではなく、学力の及ばない生とへの指導にも傾注している。高校入学そのものにも困難な生徒も当然いる。9年の卒業期から逆算して考えながら教育している。②重要視している。地域清掃、街の防災訓練への参加、合同移動教室の中で社会的に生きることを考えさせている。学校教育の範疇でできることを考えている。③英語環境をつくることが大切だと思っている。本校では英語教室を設けている。英語だけで話をする環境も整えており、英語だけで授業している。外国人の英語教師の1名常駐している。③ものづくり教育は大切。物をつくる技術力についても今後重要になる、理数教育についても重要。さらに教育を推し進めていきたい。学力上、国語と算数が評価対象だが、社会と理科教育も課題になる。

≪質問≫子供たちを見ていると小学生は町会行事に参加していても、中学に入ると部活動に忙しいと(町会行事に)参加することが減少している。最近に中学で気になるのは、1年生は初々しいが2年生は教室がさわがしく、3年生と比較しても「中だるみ」の時代のように感じる。9年生の一環教育ではこのような「中だるみ」のような時期はあるのか?自分が悩んだ時にクラス担任に相談したり、部活動顧問に相談できるが小中一貫校の相談対応如何?
≪回答≫2年生には生徒自身に目的意識がないことが要因ではないか。伊藤学園では8年、9年と同じフロア。8年生(中学2年生)はもう進学について考える、受験の体制を肌で感じる時期となる。9年生とのやりとりを集会でみて、目的、目標を見失わないように教育している。不登校、いじめ相談について:カウンセラーを2名配置。非常勤で2名配置(週3日間常駐)。教科担任制になっても学級担任がいること、学年担任がおり学年で対応するようにし、組織での対応を行っている。

≪質問≫一貫校のデメリットは? 入学を希望した際どうなるのか?
≪回答≫メリットしかないと考えている。6年生に最上級生の意識がもてない。その意識の涵養ができないことがデメリットのひとつといえる。5~7年生のカリキュラムづくりが課題となっている。学区域外については選択性、学区域については全入。学区外からの希望者は抽選となることがある。

≪感想≫新人職員より。いままで小中一貫校について話を聞いたこともなかったので、話をはじめて聞けて参考になりました。


おわりに

小中一貫校は中高一貫校と違い、法的に位置付られた学校ではないそうです。伊藤学園を含め、品川区では先端の取組みを全国に先駆けて区全体で取組んでおり日本だけではなく海外からも視察が絶えないそうです。青木先生はその学校の長であるために大変興味深く聞かせていただきましたありがとうございました。義務教育ではその性質上、非営利がゆえに組織づくりには関心が薄い長や学校組織が多いように感じますが、先端を進んでいるために組織づくりにも注力し、副校長3名の役割分担・職務分掌の明確化、輻輳的な児童・生徒の支援体制など随所に工夫がなされているようでした。今後も伊藤学園、品川区の一貫校の動きについては興味深く注視していきたいと思います。ありがとうございました。

(2011年4月2日 香山英司)