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吉田信三のアメリカだより 第2回

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国際アナリストで湖山医療福祉グループ顧問でもある吉田信三氏が学術研究のためにアメリカ東海岸のマサチュッセッツ州ケンブリッジ市に滞在しています。

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(写真)落ち着いた雰囲気のハーバード大学キャンパス

同氏には、これから折にふれて、アメリカの政治、経済、社会をはじめ介護や福祉など――アメリカの息吹を現地からリポートしてもらいます。

2回目は、アメリカの海外留学生の動向について
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先ごろ、アメリカ国際教育研究所Institution of International Education(IIE)が米国における2009~10学年度の外国人留学生に関する状況調査をまとめ、発表した。

アメリカの学校の一学年は9月から翌年の6月までで、今回の調査も2009年9月から今年6月までが対象だ。ただ、「2009~10学年度」では、何ともわかりにくいので、ここでは簡単に「2009年度」といった言い方にする。
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(写真)「大学を案内するよ!」学生ガイド君

この調査によると、昨年秋から今年にかけて、アメリカの大学・大学院に在籍した外国の学生の総数は69万1000人で、過去、最高だという。国別では中国人留学生が12万8000人。前年に比べて約30%増え、これまでトップだったインド人留学生を抜いた。厳密に言うと中国出身者が今回初めてトップになった訳ではない。99年度、2000年度にも首位だったことがあるので、9年ぶりにトップの座を奪い返したということか。それはさておき、中国出身者がアメリカにいる留学生の2割近くを占めている、この事実こそが驚きだ。

ほかの国はどうだろうか。
2位はインド出身者で10万4900人(前の年度に比べて2%の増)。
3位が韓国(7万2200人)、4位カナダ、5位台湾。
6位になって日本がやっと顔を出す。以下、7位サウジアラビア、8位メキシコ、9位ベトナム、10位トルコの順だ。<別表を見ていただきたい>。こうして見ると、アメリカの隣国のカナダとメキシコを除くと、上位をアジアの国が占める。今、アジアが、元気がいいことがわかる。また、中東の国で、最近、海外留学に力を入れているサウジアラビアの奮闘も目立つ。

それにしても日本はどうしたのか。昨年度の日本人留学生は2万4800人で、一昨年に比べて約15%も減った。その結果、日本の順位は5位から6位に転落。2008年度も前年度比14%減らしており、5年連続の減少となった。実は、日本人留学生は、1994年度から97年度まで、4年連続で首位を占めていた。それが中国に抜かれ、インドに抜かれ、そして、台湾にも抜かれて6位に落ちてしまった。ランキングだけがすべてではないが、いったい何が起きているだろうか。

様々な説明を聞く。思いつくまま列挙すると、

•アメリカは留学先としては、もはや魅力を失っている。

•日本の科学技術、学術は進んでおり、アメリカから学ぶものはない。

•英語の上達なら何もアメリカに行かなくてよい。

•ヨーロッパやアジア、豪州・ニュージーランドと、留学先が多様化しているので、相対的にアメリカへの留学が減ったのではないか。

•日本の若者は内向き指向になっている。居心地の良い日本を離れる気持が薄れた。

•就職状況が厳しく、外国に行きたくても行けない。

――などなど。

確かに・・・。そうかなと思われるものもある。が、
「アメリカからもう学ぶものはない」は、いただけない。
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(写真)大勢の観光客で賑わう ハーバード大創立の貢献者ジョン・ハーバードの銅像

アメリカの学問・研究は依然として高い水準にあり(*)、仮にそう思わない人がいたとしても、世界中から学者や専門家が集まって研究に打ち込める、そういった環境を作り、提供しているアメリカの実力を見聞し、体験することは価値があると思う。当地の大学のキャンパスを見ると、様々な国の人、様々な皮膚の色の人であふれ返っている。この開放感と懐の深さがアメリカの魅力であり、実力なのではないかと思う。

(*)ちなみに、ノーベル賞の自然科学分野での各国別受賞者数を見ると(2008年現在、集計方法で若干、数字が動くが)、アメリカは227人で断然トップ。2位のイギリス(75人)や、3位のドイツ(68人)を大きく引き離している。このほか、アメリカの大学や研究機関に在籍している研究者という角度から統計を見るとこの数はもっと増えるのではないか。

「日本の若者は内向き指向になっている」――。そうなのだろう。
色々な事情があるにしても、これは残念だ。どうして内向きになっているのか。
インターネットが発達し、世界中の情報が居ながらにして手に入る、外国にまで行く必要がない、外国は、観光旅行ですでに何度も見ている、それで十分だ、と考える人がいるのかも知れない。

でも、インターネットはあくまでもバーチャルな世界。
いくら情報を入手できたからと言っても、肌を接しながら、考え方や価値観の違う人たちと切磋琢磨することにはかなわない。その意味では、半年でも一年でもいいから、どこかの国に滞在し(もちろん、観光旅行も行かないよりは行った方がいいのだが)、そこに集う人たちと、肌と肌を触れ合うことの大事さを、少しでもこうして外国に滞在してみると身につまされて感じさせられる。
世界は広い、奥が深い――と。

ところで、私が現在、住んでいるマサチューセッツ州のケンブリッジ市はボストンの隣町で、ハーバード大学のある街。かつては、日本人の留学生がいっぱいいたのが、今はかなり減ってしまった。ハーバード大学の学長が今春、来日して、同大学への留学を呼び掛けたのもそうした背景があるからだと言う。
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今、ハーバードに日本人学生はどのくらいいるのだろうか。
学部生は5人だ。このうち、今年度入学した1年生は1人。たったの1人。
ふーん。確かに少ない。ただ、大学院には数十人規模でいるからご安心を。
それに、ここボストン・ケンブリッジ地区には、ハーバード大学以外にも、マサチューセッツ工科大学(MIT)、タフツ大学、ボストン大学、ノースイースタン大学といった錚々たる大学のほか、シンクタンクなどの高等研究機関が林立しており、そこには簡単には把握できないほどの数の日本人研究者がいる。

時折、日本人研究者たちの交流集会が開かれる。覗いてみた。
皆、真剣そのものの顔つき。頼もしい限りだ。そういった人たちを見ていると、数だけが問題じゃない、とつい思いたくなる。でも、もっと、いっぱい外国を知ってもらいたい、とも思うし・・・。

<了>

(2010年11月27日 吉田信三)